士規七則

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8157553.jpg「士規七則」
"武士道の在り方"として後世に大きな影響を与えた吉田松陰の手稿。乃木希典大将の座右の箴でもあったそうです。


冊子を披繙せば、嘉言林の如く、躍々として人に迫る。顧ふに人読まず。即し読むとも行はず。
苟に読みてこれを行はば、則ち千万世と雖も得て尽すべからず。
噫、復た何をか言はん。然りと雖も知る所ありて、言はざる能はざる人の至情なり。
古人これを古に言ひ、今我れこれを今に言ふ。亦なんぞ傷まん、士規七則を作る。


書物を開ければ、学ぶべき立派なことが山と載っていて、私達の心に訴えかけてくる。考えるに人は折角のその書を読まない。もし読んでもその得た知識を行動に表さない。
事実、書を読み実践したならば、幾千万年にわたっても実践しつくす事はできないのである。
ああ、ことさら言うことではなく、ただ実践すれば良いのである。しかし知っていたら、その事を言うのが人の情というものである。
昔の人は昔なりに言い、私も私なりに言う。何を慮ることもない、よってここに士規七則をつくる。

一.凡そ生れて人たらば、宜しく人の禽獣(きんじゅう)に異なる所以(ゆえん)を知るべし。
蓋(けだ)し人には五倫(ごりん)あり、而(しこう)して君臣(くんしん)父子(ふし)を最も大なりと為す。
故に人の人たる所以(ゆえん)は忠孝(ちゅうこう)を本(もと)と為(な)す。

一.人として生まれてきた以上は、人が動物と異なる理由を知っておかねばならない。思うに、人には人として踏むべき5つの道がある。そしてその中でも君臣の道と父子の道が、もっとも重要にして大切な道である。故に、人が人であるその根本は忠孝の道にある。


一.凡そ 皇国に生れては、宜しく吾が宇内(うだい)に尊き所以(ゆえん)を知るべし。
蓋し(けだ) 皇朝は萬(まん)葉(よう)一統(いっとう)にして、邦(ほう)国(こく)の士夫世々(しふせぜ)禄(ろく)位(い)を襲(つ)ぐ。神君(しんくん)民を養ひて、以て祖業を続ぎたまひ、臣(しん)君(くん)民(みん)に忠して、以て父(ふ)志(し)を継ぐ。君臣(くんしん)一体(いったい)、忠孝一致、唯だ吾が国を然りと為す。

一.天皇のおわす国に生まれた以上、吾が国が世界に伍して尊い理由を知っておかねばならぬ。天皇は比類なき万世一系で、我が国民はいつの時代であっても代々、天皇から官位と家禄をいただいてきた。天皇は民に信義を示されて先祖の志を継いでこられた。君臣とも一体、忠孝一致、これは我が国においてのみだ。


一.士の道は義より大なるはなし。義は勇に因(よ)りて行はれ、勇は義に因りて長ず。

一.士道には義ほど重要で大切なものはない。義、すなわち正しいことは、勇気を出すことによって、実行され、勇気は正しいことを踏み行うことにより益々秀でてくる。


一.士の行(おこない)は質実(しつじつ)欺(あざむ)かざるを以て要(かなめ)と為し、巧詐(こうさ)過(か)を文(あやど)るを以て恥と為す。光明(こうみょう)正大(せいだい)、皆是(こ)れより出づ。

一.士の行いは、質実で、人を欺くことのないことを眼目とし、巧みに言いつくろっては過ちを取り繕うことを、恥と考える。公明正大な生き方は総てここから発現する。


一.人(ひと)古今(ここん)に通ぜず、聖賢(せいけん)を師とせずんば、則ち(すなわ)匹夫(ひっぷ)のみ。読書(どくしょ)尚(しょう)友(ゆう)は君子の事なり。

一.歴史に通暁(つうぎょう)せず、聖人賢者を師と仰がなければ、人は忽ちつまらぬ凡人となってしまう。書を読み友を尚(とうと)ぶことは、立派な人の第一に心がけである。


一.徳を成し材を達するには、師恩(しおん)友(ゆう)益(えき)多きに居(あ)り。故に君子は交遊を慎む。

一.人徳を磨き、もてる才能を発揮するには、恩師と益友の裨益(ひえき)によるところが多い。故に君子は交遊を慎重にする


一.死して後(のち)已(や)むの四字は言簡(げんかん)にして義広し。
堅忍果決(けんにんかけつ)、確乎(かっこ)として抜くべからざるものは、是(こ)れを舎きて術なきなり。

一.死而後已(ししてしかるのちやむ)という4文字は、言葉としては簡単だが、「死ぬまで出続け、いのちある限りやめない」)という意味は非常に深い。このことを無視しては、堅忍果決にして確固(かっこ)不抜(ふばつ)という生き方は決して出来ない。


右士規七則(しきひちそく)、約して三端(さんたん)と為(な)す。曰く、「志を立てて以て万事の源と為す。交を択(えら)びて以て仁義の行(おこない)を輔(たす)く。書を読みて以て聖賢の訓をかんがふ」とまことにここに得ることあらば、亦以て成人と為すべし。

右の士規七則を要約して、三項目となす。即ち、「志を立てること、総て物事の出発点とする、交はるべき友を選んで、仁義の行ひに裨益するようにする。書を読んで、成人賢者の教えを考えて、これをまた吾が身に行う」

 二十一回猛士手録(吉田松陰先生の花押)

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寄せられたコメント(2)

どれも、なるほどと思うものですね。実践が必要ですね。

そうですね!
実践していた先人はスゴいです。

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新潟県生まれ、宮崎県在住。イラストレーター・アニメーション作家 http://hopstep.tv

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